ZINE『遠くの山』制作記 -ぽつぽつ、届いています-

『遠くの山』は、様々な人の人生の一端を綴るアンソロジーZINEです。2025年秋に発行予定。
そのZINEに掲載する、興味のある人から聞いた「目の前のあなたになるまでの話」を2月から6月にかけて募集していました。
『遠くの山』には、自身の言葉をまとめたものではなく、興味のある人に話を聞きに行き、その人(語り手)から聞いた話が掲載されます。



話を聞いて集めたり、まとめたり、聞きなおしたり、何度も読み返したりしたであろう文章が、本当にぽつぽつ、ぽつぽつ、と集まっていて、文章が届く度に私は一人で喜びを噛みしめています。
以前も少し書いたのですが、私は何かに興味を持っている人を見ているのがとても好きです。
『遠くの山』に集まってくる文章は、聞き手の興味からはじまったものなので、いちいち気持ちが動くのだと思います。
こんな喜びが我が人生あったとは...といちいち感激しています。本当に、もれなく、いちいち。


『遠くの山』には7人の聞き手が集めた、8人の語り手の話が掲載予定です。
どんな人に話を聞くかは聞き手の皆さんに任せています。聞き手が「興味のある人」ならどなたでも良いですよ、とお伝えしていました。
それぞれに「興味のある人」に連絡をし、話を聞いて、文章にまとめ、語り手に確認してもらう作業まで努めてくださいました。
「興味のある人」とはいえ、改めて「話を聞かせて欲しい」とお願いするのは勇気や気合い(のようなもの)が必要な場合があります。
何か明確な答えのある問いを投げるわけではなく、ただ「どんな風に生きてきたの?」と聞くのには照れや遠慮も生じるでしょう。
そこを超えて取り組んでくださったことにまず拍手を送りたいです。
上手く話を聞けなかったと感じることや、出来上がった文章を語り手に確認してもらったときに互いに認識の違いに気づいて戸惑いを抱いたこと、言葉の意味や並びのリズムなどに関する疑問などを共有してもらう度に私にも大きな学びがありました。


こちらが指定した文字数の関係もあり、語り手から聞いた話を全て掲載できるわけではなく、聞き手がある程度切り取っている部分もあります。どういう風に切り取るかは聞き手に委ねられています。
同じ人に話を聞いたとしても聞き手が違えば、溢れてくる話も切り取り線を引く場所も異なり、そこが難しいところでも面白いところでもあると思います。

ぽつぽつと届く文章を受け取る度に「早く私以外の人にも読んで欲しい」と、ジタバタしています。ジタバタしていないで手を動かすべし、という感じなんですが、毎回一旦ジタバタしています。
去年の今頃、私は悲しいときにジタバタするんだなと実感したんですが、
今年になって、嬉しいときにもジタバタするんだと知りました。


20代から90代の語り手たちの話とそれぞれの聞き手によるエッセイを、できるだけ読みやすく配置してお届けできるよう、手を動かします。
大切に作業することを、決意としてここに記します。

まだまだ暑い日も多いですが、風は秋の雰囲気を運んでくれている気がしますね。
夏の間、上を見上げるきっかけをたくさんくれた各地の百日紅が次の夏に備えて花を落としていく様子に私もきちんと次へ進まねばと思います。

とまれみよ

聞き書き、ZINE制作、イベント企画などを自分の手や目の届く範囲で。