[展示]冨永美恵 書 作品展+とまれみよ「8」

宮崎市鏡洲にあるギャラリー「根々」さんで開かれた
冨永美恵
さんの書作品展にて映像作品とZINE「とまれみよ」のイラスト原画を展示させていただきました。ご来場くださった皆さん、気にかけてくださった皆さん、ありがとうございました。


映像作品は、今年の秋に発行予定のZINE「遠くの山」の対になるものとして「近くの人」というタイトルをつけました。『遠くに見える山と、近くに居る人は同じなんじゃないか』という仮説が私の中にはあって、対になるような言葉だけれど、内容としては同じ並びにあるもしくは重なり合っているという風に思いながらつくったものです。


ZINE「とまれみよ」のイラストは姉(小谷彩佳)が描いてくれています。私撮った写真を渡してそれをもとに絵を描いて貰っています。姉の絵は線が美しいです。原画を直接観た方々から、様々な感想をいただけて嬉しい時間でした。展示という形で眺めてみて、私も改めて姉の絵が好きだなーと思いました。今後も無理のない形で私のつくるものに参加してもらえるよう、きちんと歩んでいかねばと思います。


冨永さんの書作品の間に作品を置かせてもらったことは、ありがたい経験でした。漢詩の作品もあれば、パッと観て読めるような作品もありました。会期中に冨永さんと、書の作品にある「読もうと思えば読めてしまう」ということの是非を少し話しました。

私は書の作品を絵のように観ることが多いので、読まなくてもいいんじゃないかなと思っていたのですが、読もうと思えば読めるのにそれを読むなと言うのも難しい話ですよね。観る人もいれば、読む人もいる、というのが書作品のなんだが面白いところの一つだなと思います。文字を読んで意味を知ると、それはそれで素敵だなと思う部分も多々あって、なんて鑑賞しがいのある領域なのでしょう。
文字というコミュニケーションツールをつかって、文字が持つ意味以外のものを発している場合があるというのが複雑で愉しくて、クラクラします。書における文字のコミュニケーション性について分からないなりに考えていたら本当にクラクラしてきました。面白い世界ですね。
何層にもわかれてつくられている(ように感じる)冨永さんの作品とご一緒できたのは本当に居心地が良かったです。お声かけ頂き、貴重なスペースをわけてくださってありがとうございました。


会場の根々さんも本当に素敵でした。良い光が入ってくる空間で、ずっと気持ちよかったです。根々さんの窓から見える木々を観ていると外を歩きたい気持ちになって、散歩も捗りました。様々な人やものが関わって育まれてきたのだろうなと感じる佇まいの場所で、映像や原画を見て頂けたのは本当に嬉しかったです。根々さんが繋いでくださって、会期2日目にはTATEYOKO kitchenさんがお弁当を届けてくださり、美味しい春を楽しめたのもとっても良い思い出です。
行こうと思えば行ける距離に、根々さんが在るというのは心強いなと思います。引き続き宮崎で、小さく生活をつくっていくことへの希望の一つになりました。私は今のところ、宮崎の刺激の少なさが気に入っています。カッと目を開かされたり、グッと肩を掴んで方向を変えられたりするような刺激的な出会いが少ないなと、個人的には思います。その分、言葉にはできないけれど何かいいなと思うものやじっと観ていたくなる美しいものにいちいち立ち止まって向き合える、良い隙間が漂っています。そんなことを改めて思った時間でした。今の生活を好意的に思えるというのは、ありがたいことです。



展示を通して何よりも感じたのは、私自身が「自分で」「自分の言葉で」伝えることを怠っていたのではないか、ということでした。
イベントに参加するにしても委託での参加がメインでなかなか直接つくっているものを届ける、観てもらう機会をつくる、ということをしてきませんでした。今回、展示を通してZINEという形以外で「とまれみよ」を観てもらう機会を頂き、反応を受け取ったり感じたりしたのは新鮮な経験で驚きが多かったです。

「言いたいこと」の核と表層のどちらもいっぺんに出したくて、できるだけ遠回りしたいと思いながらZINEなどをつくっているので、とりあえず完成したもの(ZINE)だけ観てもらえたらいいという感覚がどこかにあったのだと気づきました。
でも、私が本来見たいものはその先にある、誰かの気になる人の生活の一端や関係性から溢れてくる言葉なので、もっとちゃんと自分の言葉で伝えなきゃ!と思った次第です。今後、ZINE「とまれみよ」シリーズや「遠くの山」(今年の秋刊行予定)を誰かに届けようと動くときに、良い指針となりそうな気づきを得ました。
大切なものなのだから、届けるところまで大切にやりなさいよ、と。


あと、宮崎に友人知人をつくらなきゃ...とも思いました。
これは長ーい目で見て、地道に頑張りたいです。


改めまして、お越しくださった皆さん、気にかけてくださった皆さん、ありがとうございました。感想などはいつでも受け付けていますので何か思いついたことなどありましたら気軽に教えてください。
今後はイベントへの委託参加だけではなく、展示などより広がりを持った形でZINEを届けていきたいなと思っています。他の人やものに頼ることが多いと思いますが、良いときに同じ舟に乗って頂けると幸いです。引き続き、よろしくどうぞ。



冨永美恵 書 作品展
+とまれみよ
「 8 」
@根々

2025.2/21-25
13:00-18:00


冨永美恵さんの作品は設えも愉しく、どう書いているのか、どんな紙に書いているのか、そんな視点で観るのもとても面白いのでまたどこかで生で観られる日が待ち遠しいです。
根々さんは「暮らしの根にある小さなお店」
山本かなこさんのアトリエ兼絵画教室としての姿もあります。すぐ近くには登り窯があり、山本勘弥さんが作陶されています。冨永さんの作品と勘弥さんの器の雰囲気の調和も素敵でした。来週(2025/03/15-17)には、「山本勘弥 窯だし器展」が開かれるそうです◎

根々さんの周りは鳥の声も木の音もよく聞こえ、とても気持ちが良いです。加江田渓谷の手前にある丸野駐車場を目指して来て頂いて、そこから歩いていらっしゃるのがおすすめです。

夕方の根々さんも素敵でした。

良い光をあててもらいました。

壁に映像を投影すると、影遊びができるということにも気づきました。

会期中に映像について最も聞かれた質問は「干し芋ですか?」だったと思います。みんな大好き、干し芋も混ざっている映像でした。

TATEYOKO kitchenさんのお弁当。全てのおかずが美味しくて、美味しくて。写真が上手に撮れていなくて申し訳ないですが、見た目もとっても美しいのです。春!春だ!と思いました。

「8」のDMはこちら。シンプルなデザインにしました。冨永さんが全てのDMに穴を8つ開けてくださいました。

根々さん周りの散歩で見かけた影や光や木など。

最後に、お犬の「だいちゃん」会場で静かにゴロゴロしてくれて助かりました。私たちが立ったり歩いたり座ったりしている間にも、だいちゃんはずっとごろりとしていました。ごろりとした生き物がいる空間というのは、とっても良いです。ピントは全く合いませんでした。

とまれみよ

聞き書き、ZINE制作、イベント企画などを自分の手や目の届く範囲で。